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【パリ通信】Vo10

[更新日] 2016年12月15日

パリ通信
アンリ・ファンタン=ラトゥールの静物画 12・12・2016
 パリ左岸、リュクサンブール公園の一角にリュクサンブール美術館があります。この美術館は同じ敷地内にあるリュクサンブール宮殿の横にあり、同宮殿はフランス元老院の議場などが入る政治の重要拠点です。
 リュクサンブール美術館では、これまで多くの優れた企画展が開催され、現在は「アンリ・ファンタン=トゥール(1836-1904)、豊かな感受性」展(17年2月12日まで)が開催されています。バラの花で知られるファンン=ラトゥールの花の絵や静物画から人物画まで約60点の絵画、30点のリトグラフや素描、習作が集められています。
 静物画といえば、イタリアの画家カラバッジオやフランスのセザンヌの静物画などが日本人には身近な存在ですが、ファンタン=ラトゥールは、野心的作品の多い近代において、きわめて正統な静物画を描き続けた画家だったと言えます。
 ファンタン=ラトゥールは、1836年にグルノーブルで産まれました。彼の作品は、現在、オルセー美術館開館30周年の記念展、「第二帝政の華やぎ」展にも展示されています。彼の生きた時代は、印象派や象徴派が登場した時代と重なり、事実、彼自身、印象派や象徴派の画家たちと親交がありました。
 しかし、西洋美術が過去にない変化を遂げる時代に生きながら、ファンタン=ラトゥールは印象派や象徴派に加わることなく、写実にこだわり、淡い色彩を駆使しながらも精緻な筆致で静物画や友人の画家、詩人などのグループの肖像画、女性の肖像画を描き続けました。
 そのため、印象派やフォービスムなどが注目を集め始めた彼の生きた時代、さらにはアメリカの現代アートや抽象絵画が高く評価された戦後、ファンタン=ラトゥールの写実絵画は、影を潜めた感もあり、あるいは1ランク低い芸術と評する評論家も少なからずいました。
 描かれた物の一つ一つは、取るに足らない価値を感じない物であっても、それを描く画家の豊かな感性が価値を付与するのが静物画です。命の短い実物の花も絵画の中で永遠の命を与えられます。迷走する21世紀の美術界にあって、奇をてらった現代アート以上に、静物画は芸術の核心を気付かせてくれます。
 ファンタン=ラトゥールの作品は、描かれたモティーフだけでなく、その時代の空気さえも感じ取ることができる。特に彼が得意とした花の絵は、英国において高い評価を受けました。今はモンパルナスの墓地に眠るファンタン=ラトゥールですが、周囲に左右されず自分の絵を描き続けた画家の信念は、今も多くの人々に感動を与える。

絵解き「花と果物」 アンリ・ファンタン=ラトゥール 1866年作
   マネやルノアールが描き込まれた「バティニョールのアトリエ」 アンリ・ファンタン=ラトゥール 1870年作
素晴らしい庭園としても有名なリュクサンブール公園と宮殿

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